WセンスW

 ウィキペディアでは、第一に、
『英語で五感の意味。転じて、美的感覚や感性のこと。才能と似た意味である。』とある。
 おおむね良好な解釈であると思われる、



  W例えばQUADW

  古い真空管アンプです、モノラル時代からステレオ時代に移行、パワーアンプはモノラルを2台、  現在感覚でも「粋」です。

(但し骨董趣味とか、高性能を極める、等は別です)








機能を突き詰めると、結果的に美しい形態となった機械構造


機械構造 日本の底力




遊星ギア

遊星構造にセットされたギア群

入念に設計、製作、された機構






コレット・チャック

自動切削機械に採用

専用加工が主流です




美しいと感じる感性




鉛筆画

MODEL オードリー・ペップバーン

入院中、脳と指先のリハビリを兼ねて鉛筆で書いてみました。







芸術(アート)とモノ創り(機能美)、その相違点は・・・

完全な芸術(アート)の世界、そこにはルールとか制限はありません、

絵画、彫刻、等の静止表現、 また時間軸表現では、音楽、舞踊、等があります、

そこには、芸術家は感情の表現を自由に表す事が出来ます。

この芸術(アート)とは全く異なる性質を持つのが機能美であります、

機能という制限の中から生まれる美しさ、それが「機能美」であります、

音響機器とは、機能の中に一部音楽という芸術を扱う、という複雑な性質を持っております、

音響機器の機能美、そこには「センス」が大きく関わっている、と思われます。


機能を追求すると自然に湧き出る 「機能美」 ルガーP08

第二次世界大戦中、ドイツで開発された拳銃

ルガー P08 です。

これほど機能とデザインが見事に融合した例はめずらしい、

機構は独自のトグルアクション、

持ってみると、手に感じる触感の良さは脅威、

アートデザインだけでは実現出来ない機能美、

まさに「傑作品」と言えるでしょう。



機能を追求すると自然に湧き出る 「機能美」 オムロンPL08

OMURON PL08

中学生の頃、初めて買ったオクタルGTソケットです、

電源を全波整流にするため、5Y3GT、起用

高1中2通信型受信機のためです、

1964年、東京オリンピック前後だった筈?

半世紀以上のお付き合いです。


 やがて大人になり、電気知識、機械設計知識、を習得しましたが、オクタル・8Pソケットでは、

このPL08程見事な創りは、機構知識を学ぶ程に知り得ました、元来は同社のリレーのために作られたものです、

相手側の製造公差を十分に想定した構造は、高い信頼性と共に数々の実績が証明されております。

(余談ですが、本来の機能を重視せず、金メッキピン等に惑わされてはなりません、ソケット選択にもセンスが必要です)







芽生える機能に着目、追及に値する未知数


例えば五極間の単段増幅、

負荷抵抗を大きくすると増幅率も増える、

ロードラインも真横に近い状態で定電流負荷に接近、

電流を絞り、極限の環境を与えてみると・・・?

これを飢餓回路と言う。


その高域特性は、oct/-6dB、位相特性も-90°以内となる。

この特性をそのまま負帰還ループに、それが事の芽生えであります。



直ぐに考えつくのが、出力から入力に負帰還をかける単段反転アンプです、ところが欠陥は入力インピーダンスも下がってしまう事です、

低入力インピーダンスは電圧増幅の理想像からは、好ましくない不細工な形態である事は言うまでもありません。

これを解決するには、前段にきわめて周波数の高いカットオフの増幅段を設け、非反転増幅とする事で理想的な骨格となります、

特性を維持しながら負帰還ループに挿入するためには、帰還量に比例して高域カットオフは高くなければならない。

例えば負帰還量が、高負帰還(40dB)、ともなればカットオフの周波数は、MHz領域領域まで及ぶ事となる。

高速、高負帰還、(高音質)のアイデアが(追及に値する未知数)現実化されました。 1980年代末期


追及に値する未知数、発見したならばそこからが製作のはじまり



扱う周波数が高くなると、回路図だけでは解決出来ない問題が発生します。


高性能、かつ、高音質(高速、高負帰還、)を実現するには、好結果をモデルとした現物合わせが必至となります、

僅かな分布容量の変化であっても、結果的に大きな変化をもたらします、

したがって現実的には実態配置図を必要といたします。


製作にはバラックセットを幾度となく組み上げ、問題点を洗い出します、

高速、高帰還、アンプでは通常の配線技法では不可能であり、回路の内容を十分熟知しなければなりません、

内容を理解する程に、測定器の範囲、スペックをカバーしたモノも必然的に装備しなくてはなりません、十分な覚悟は必要です。


最もセンスが現れるのが、プリアンプの製作

プリアンプの製作の心得、例えばパワーアンプであれば、通常は比較的表に出ない影の存在であります、

ところが、プリアンプの場合はコントロールの操作、という点で絶えず表に出てきます、

ボリューム、トーン・コントロール、ファンクション、電源スイッチ、等の操作はこのプリアンプより設定されます、

したがって、音響機器を操作の度に、絶えず目に入り、操作の工程では手に触れる触感、等最も身に近い存在であります、

こにプリアンプはセンスの如何によって、日々の感情・感覚は時間の累積加算にとって大きく影響を受けることとなります。


構造的には、まず電気的機能が理想的な集合体が第一です、

最も大事な機能ですから、妥協は微塵も許されません、

この高性能機能を中心に、その他の部分を展開いたします。、


フロントパネルは、人間で言えば顔にあたる部分です、

操作に無理が無く、均整のとれたバランスが必要です、

人間は通常、右利きである事は考慮しておかねばなりません、

信号の流れは、左より右側へと流れます、


全てを考慮して全体の構造を考えます、色々な要素の複合体ですから、簡単し済ましては後々後悔が残ります、

幾度となく実態図を描いて考えます、やがて細かな部分は整理され、設計者のセンスが形成されて行きます、



設計プランは正確に図面化、を行います、

機構図面は最後まで表に出てきませんが、

図面ひとつ取ってもセンスが現れるのです。


CADを使用しても良いのですが、不細工なCAD使用は誠に、

見苦しいです、図面は本体を重視し極力傷めない表記に

に心がけます、よく強引な引き出し線の多用を見かけます。

熟練の職人さんは苦笑しております。






音響機器の機能美、そこには「センス」が関わっている

素晴らしい機能と音質を内に秘めた音響機器は、それに見合う機能美も兼ね備わっております、

では、素晴らしい音質、それを判断するのも創造者の「センス」であるのは当然であります、


音質の吟味、電気的な回路構成、回路・機構図面、デザイン、それ等が一体となって「機能美」あふれる作品となります、

したがって簡単に出来るものではありません、決して思いつき等では実現は不可能です、幾度の試作、思考、の末の結果であります

魅力ある音響機器は、美しい「機能美」に宿る。