理解し易く考慮中



マッキントシュ クロスシャントPPの問題点

熱心なアマチュアの成果 クロスシャントPP

 真空管アンプの出力回路に、クロスシャントPPという回路があります、有名な所ではマッキントッシュのパワーアンプに採用されております、この回路は負荷抵抗をプレート側、カソード側にそれぞれ分離したものです、最大の長所は出力トランスのインピーダンスを1/4に出来る事です、例えば通常の回路であれば5KΩであれば1.25KΩと低く選べる事です、インピーダンスが低くなれば出力トランスがより理想的な特性が得られます。


 熱心なアマチュアはこの点に着目し、スロスシャントPP用の出力トランスを研究されている様です、その成果は右図の通り大変立派な成果がWeb上で公表されております。

 欲をいえばカットオフ周波数が30〜40KHzと異例に低めですが、減衰カーブの素直さが優秀であります。

 周波数特性を注意深く観測すれば、位相特性がおのずと想像できます、周波数特性が高域に向かいoct/-6dBで減衰している、という事は位相は-90°までですから、出力トランスを高域時定数の第1ポールに設定が可能となり、高度で高速な負帰還が可能となります。


マッキントシュ形 クロスシャントPPの問題点

 尚、回路構成がクロスシャントPPであり、ドライブにはブートストラップを採用したマッキントシュ型とした場合、減衰カーブはoct/-12dB(位相:−180°(正帰還))となっております。
 この事は何を意味するか?、まず出力トランスを高域第1ポールに設定し、高負帰還では出来ない事です、だだし負帰還を12dB未満ならば可能です、
 高性能、高負帰還、を望むのであれば、オリジナルのマッキントッシュの通り出力トランスを高い周波数に設定し、高域第2ポールに甘んじ、低い周波数で補正を行い第1ポールとしなければなりません、要するに高速設定は不可能であり古典方式となってしまいます。
 高性能希望ならば、CSPPの代表作、オリジナル・マッキントッシュの憧れは無残にも崩れ、旧式の代表でしかありません。


 さて、同一種類の出力トランスで、よく似た性質でありながら、使用条件が異なりますと結果は大きく異なっております・・・?
 規則正しくoct/-12dBとなる条件として、同一時定数を持ったoct/-6dBのポールが2箇所存在する場合であります。

 結論から申しますと、出力トランスを第一ポールに設定した、マッキントシュ形CSPPを施した回路では高速負帰還は困難であります、ブートストラップを施す事により、減衰カーブはoct/-12dB となり最終的に位相は-180度となり発振にいたります、せいぜいNFBは12dB前後までの低帰還に甘んじなければなりません。

  (試しに補正のCを外し、NFBを12dB〜14dB〜16dB〜18dB と変化すると序々に真の実態が姿を現します)

 オリジナルのマッキントシュは出力トランスを第二ポールと高い周波数に設定し、アンプ内で補正を施し、スタガー比を確保した上で高帰還を施しております、昔はこの手の手法が標準的でありましたから、いたしかた無い所でしょう。

 高速度負帰還である、出力トランスを第一ポール設定による高性能(高帰還)は不可能です、
オリジナル、マッキントシュはCSPP形態としては、ベストの形態ではないのです、ただ、当時としては良く出来ております。

(負帰還に関しては【負帰還】の項目をご理解ください)



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